貞寿です。
昨日、やっと、お富与三郎を読み終えました。
が、数人から
「本当のお富与三郎の最期が気になる」
というようなご意見を頂きました。
気になります?
気になりますよねぇ。
一応、講談本で読んだ
「お富与三郎の最期」
野暮ですけど、おしえちゃいますね。
(ちょっと長文です)
☆☆☆
島抜けして、観音久治の家を訪ねてきた与三郎に驚いたお富。
「せっかく久治親分のところで安穏に暮らしていたのに、また与三さんが来るなんて…しかたない、この人を殺すよりほかはない」
与三郎を邪魔に思ったお富は、酒に酔わせて、与三郎を殺害。
死骸を葛籠の中にいれたもの、死骸の捨て場に困っていると、観音久治の子分で、栄螺柄の六造が訪ねてくる。
久治は、与三郎の支度金にと、五十両おいてきたが、もしかしたら足りないかもしれない、と追っかけ更に五十両を六造に持たせ届けてよこした。
お富はこれ幸いと、六造に酒を飲ませ、色仕掛けで夫婦約束を持ち出し、一緒に駆け落ちしよう、と言い出す。
かねてから憧れていたお富からの申し出に、酒に酔った六造はつい首を縦に振ってしまう。
「私の荷物が入っているから運んでおくれ」
と、与三郎の死骸の入った葛籠を、六造に運ばせ、万年溜のあたりで捨てさせると、もう用はない、とばかりに、酔った六造を井戸に突き落として殺害。
そんなこととは知らない久治、九日ばかり家を留守にして、ようよう戻ってまいりますと、お富が一人。与三郎の姿はなく、一人で江戸を立ったという。
「島抜けしてまでお富に会いたがっていたのに、そのお富を置いて、与三郎が一人江戸を離れるなんてことをするだろうか」
久治が不振がっておりますと、井戸の中から使いに出したはずの六蔵の死骸が上がった。
久治の疑念は深まるばかり。
さらに、万年溜から与三郎の死骸が上がったものだから、これはお富の仕業だと確信した久治が、同心青木三平に、いままでの一部始終を打ち明け
「今は私の女房となっているお富が殺したに違いありません。私は逃げも隠れも致しませんから、どなたか家へ行って、お富をお召し取りくださいませ」
すぐさま捕り方が久治の家に駆けつけるが、家はもぬけの空。
書置きには、
「親分の恩をあだで返すような真似をして申し訳ない、私は与三さんとあの世で添い遂げます」
というようなことが書いてあったので、久治も一緒になってお富を探し回る。
与三郎の父親、伊豆屋喜兵衛から菩提寺の場所を聞いて、本所の浄心寺までやってくると、そこで念仏を唱えているお富を発見。
「お前だけを牢屋には入れない。罪人を匿った罪、俺も番所に行こう。まず、事の次第を伊豆屋に知らせてやらなきゃならないから、俺はあとから番所へ行く。おまえは先に番所へ行ってな」
お富を駕籠にのせると、久治は伊豆屋へ行って、与三郎が殺された顛末を父親に知らせ、再び番所へ出向いた。
ところが、一足先に到着しているはずのお富は、またしてもここで逃げ出した。
お富は、駕籠脱けをして、品川から房州の加知山に行く船に目星をつける。
この船に昔の馴染みでいまは漁師の甚造がいたのを幸い、甚造を色仕掛けで落とし、船に乗り込むと、そのまま甚造の家に転がり込んで夫婦同然の間柄となった。
しかし、房州まで逃げたといっても、逃げ切れるはずもなく、追い詰められたお富はついに観念して、加知山の代官、樋口六太夫に訴え出た。
やがて、お富は江戸送りとなり、依田豊前守のご沙汰。亭主殺しの大罪にて、市中引き回しの上磔。三十九歳を一期として冥途黄泉へと旅立った。
罪人を匿った罪で、島流しとなっておりました久治も、三宅島で落命。
伊豆屋喜兵衛は家を養子に託すと、髪を落とし、生涯与三郎を弔った。
完
☆☆☆
ひ、ひどい…
お富、どこまでもひどすぎる。
ここまでいくと、一周回ってちょっと面白いくらいです(笑)
そして、久治が気の毒すぎる。
でもね、多分、こっちのほうが人間っぽいんですよ。
与三郎は、お富に会いたい一心で、島抜けまでして会いに来たのに、お富は与三郎を邪魔者扱いして殺しちゃうのよ。
その後も、片っ端から色仕掛けで、死骸を運ばせるは、人殺すは、逃げるは、やりたい放題!
でも、自分の身ひとつで、そこまで男を手玉にとれるってんだから、どんだけいい女なんでしょう。すごい。すごすぎる。
この時、お富は三十九歳ですよ!
この時代で考えたら、相当年増ですよ!
そして、男の人はなんでこんなにいい女に弱いんでしょう!(笑)
この話の結末を、うちの師匠はどうまとめてくれるのか?
正直、楽しみで仕方ありません。
おかげさまで土曜特選会は、定員数に達しましたので、ご予約の受付を終了させていただきました。
早々にご予約くださいました皆様、ありがとうございました。
もし、キャンセルなどをご希望される方がいましたら、早めにご連絡ください。
キャンセルが出た場合のみ、当日券を若干数出させていただきます。
どうぞお楽しみに!